コエマチ文庫
恋愛

乙女座の怪物

author作者:夕衣凪

誰も悪くない、誰もがちょっとだけ間違っちゃった、かもしれない、お話。 ★お好きに楽しんでいただければ幸いです ★演者人数自由(1~3人)、 ★キャラ性別変更不可ですが、演者の性別は問いません ★一人称、語尾変更→可 大筋を変えないアドリブ→可

配役
120
予想時間10
文字数3243 文字

登場人物

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絵美大学2年生
千佳大学2年生
大介大学2年生。一浪していて2人より一歳上
本編
千佳「大介、最近、冷たいよね。……私たち、一度、考え直した方がいいのかも」
大介「千佳……」
2週間後。大学のサークル棟
千佳「……やりすぎちゃったかな。連絡、全然来ない。あ、大介……え?」
大介「……もう、無理なんだ。何をしても否定される。千佳の顔を見るのが怖い」
絵美「大介くん、そんなに震えないで。大丈夫、私がついてるから」
千佳「大介? 絵美? なんで……二人で何してるの?」
絵美「千佳……。もう大介くんを追い詰めるのはやめてあげて。彼、本当にボロボロだよ」
千佳「追い詰めるって何? 私はただ、……」
絵美「ただ、何?あんなにひどいこと言っておいて、よくそんなこと言えるね」
大介「……いいんだ、絵美ちゃん。あいつのことは、もういいんだ」
千佳「あいつ……? 私のこと、あいつって言ったの? ねえ、どういうことなの?」
[間]
大介「絵美ちゃん……俺もうやんなっちゃったよ。何もかもダメ」
絵美「大介くん、そんなに自分を責めないで。千佳も、きっと本気でそんなこと……」
大介「千佳に『軽すぎ』って言われるんだよ。良かれと思ってやったことは鼻で笑われるし」
大介「何をしても否定される。……もう耐えられない」
絵美「……ひどい。大介くんはこんなに優しいのに。千佳には、大介くんの良さが分からなかったんだよ」
数日後、大学の学食
千佳「ねえ、大介と会ってるの?」
絵美「千佳、ひどいよ。千佳は自分の言ったことがどれだけ人を傷つけるか、考えたことあるの?」
千佳「私、そんなつもりじゃ……」
絵美「私だって、友達の彼氏取っちゃったって、すごく悩んだんだよ……」
夜の公園
大介「絵美ちゃん……、俺、最初から、絵美ちゃんみたいな優しい子と出会ってればよかったな。」
大介「千佳の機嫌を取るために必死だった時間、なんだったんだろう……」
絵美「……いいんだよ、大介くん。私が大切にするから。千佳が捨てたもの、私が全部拾うから」
大介「絵美ちゃん……」
絵美「大介くん……」
夜。絵美の部屋
絵美「……もしもし」
千佳「………………」
絵美「……千佳……」
千佳「…………………、エ、ミ……」
絵美「……何?電話なんか。……何がしたいの?」
千佳「……………………」
千佳「…………な…んで……うッ…ヒックッ………」
千佳「……………………」
絵美「………もう切っていい?迷惑」
絵美「こんな、無言電話とか、サイテーだよ」
千佳「……………………」
プツッ。通話が切れる。
千佳「…………フェッ……ッ……ヒィッ…」
3年後。駅前のカフェ
絵美「……千佳?」
千佳「……久しぶり、絵美。……幸せそうだね」
絵美「なんで……。あんなに元気だった千佳が、どうしてそんな風に……」
千佳「……なんでだろうね。……ねえ、あんたにあの日、最後になんて言われたか覚えてる? 『サイテー』って。理由も教えてもらえないまま、友達からゴミみたいに捨てられた」
絵美「それは、千佳が大介くんにひどいことをしたから……!」
千佳「……ひどいこと、か。……絵美のしたことは、ひどいことじゃなかったの?」
千佳「なんで、何があったか、一度も私に聞いてくれなかったの?」
絵美「え……?」
千佳「寂しいって電話した時、大介は来てくれなかった。だから私、気を引きたくて突き放した。私がしたのはそれだけなんだよ。……戻ってくると思ってたんだ…バカな私」
千佳「……絵美は、一度も私の口からは聞こうとしなかったよね。…なんで?私たち、友達じゃなかったのかな…。話くらい、聞いてほしかった」
絵美「そんな……だって大介くん、そんなこと、ひとことも」
千佳「そんなに私、悪いことしたのかなって……誰も教えてくれなかった」
絵美「千佳……」
千佳「わけわかんなくなって…こわくて…悲しかった」
千佳「絵美に裏切られたことよりも、切り捨てられて、絵美がいなくなっちゃったんだってことが、ものすごく……悲しかった」
絵美「……千佳……」
千佳「……そうだ。これも聞いてみたかったんだ」
千佳「自分のしたことは棚に上げてサイテーだなんて、どうして言えたの?」
千佳「って。すごく。不思議だった」
席を立つ千佳。呆然と座ったままの絵美
千佳「じゃあね。バイバイ、絵美」
千佳「……私、ほんとに大好きだった、絵美のこと」
雨の屋外
千佳「やっと声に出せた。『悲しかった』って言えた」
千佳「復讐じゃない。大好きだった絵美を、私の中で終わらせるために」
千佳「さよなら、私の親友。バカな女」
4年前。笑い合う3人
千佳「ほら、大介、こっち持って!」
大介「これか?」
絵美「千佳、それ、順番、逆じゃない?」
大介「ほんとだ」
千佳「え、どこーー?わかんないよー!」
絵美「もう、こっちだってー!」
現在。二人の家。
大介「おかえり。寒かったでしょ。ハーブティー淹れてるよ」
絵美「……」
大介「……何かあったの?」
絵美「大介くん……今日、千佳に会ったよ。千佳、本当は寂しかったって言ってた。あなたが来てくれなかったって」
大介「……まだ」
大介「まだ、そうやって人を揺さぶろうとするんだ。それが、あいつのやり方」
絵美「え……?」
大介「絵美ちゃん。……だまされるなよ。真実を見る目を持つんだ。あいつ、今でも俺たちのことが許せないんだよ。」
大介「だから、そうやって絵美ちゃんの心をかき乱して、俺から引き離そうとしてるんだ」
絵美「(M)……何が本当なの? 大介くんは優しいの? それとも怪物なの?」
絵美「(M)分からない。何も分からない」
別れる前の千佳と大介、夜の電話
千佳「……大介、今から会えないかな。お願い。一目だけでいいから、顔が見たいの」
大介「わりぃ。明日も早いし、無理だわ。寝なよ」
千佳「……わかった。もういいよ」
[間]
大介「あいつ、深夜でもお構いなしに電話してきて、今すぐ来いって叫ぶんだ。」
大介「断ると、狂ったように罵倒される。……本当に怖かった」
別れの日
千佳「大介、最近、冷たいよね。……一度私たち、考え直した方がいいのかも」
大介「千佳……」
[間]
大介「突然、理由も言わずに『考え直したい』って突き放されたんだ。」
大介「まるで、俺はもう必要ないって言われてるみたいだった。」
大介「……俺、何か悪いことしたのかなって、ずっと自分を責めたよ」
現在。2人の部屋
大介「絵美ちゃん。……だまされるなよ。俺を信じて」
大介「俺だけが、君の味方なんだから」
絵美「……うん。……ハーブティー。もらうね」
絵美「(M)分からない。何が本当なの? なんで?」
絵美「……千佳……こんな気持ちだったのかな……」
絵美「……どうしよう……私、もう行けるところなんてない」
絵美「私の居場所、、、千佳の隣、、、私が、壊しちゃったから……」
絵美「(M)ハーブティーは、何の味もしなかった。目の前には見慣れた顔。大介くんが、優しく微笑んでいる。」
絵美「……美味しい。」